北アルプスには日本百名山が15座あります。どの山も印象的な山ですが、その中でも比較的初心者でも上りやすい山が、『焼岳』と『乗鞍岳』です。なぜかというと日帰りができるからです。逆に言うと、北アルプスにある他の13座は相当の健脚でない限り、必ず1泊する必要があります。今回はそのうち『焼岳』についてご紹介します。
1.焼岳(やけだけ)登山ルートマップ( 登山日:7月下旬)
2.現地までの移動手段
東京、京都の主要ターミナルから出ている夜行バス、アルピコ交通の 「さわやか信州号」 を使いました。「さわやか信州号」が便利なのは、乗り換えることなく上高地バスターミナルに行くことができることです。この夜行バスは時々利用しています。「さわやか信州号」に乗り、釜トンネル手前の「中の湯」でおります。
着いた時間は午前5時。7月下旬に上ったので、十分明るい時間でした。ここから、中の湯に向かう旧の平湯に抜ける道を登ります。ヘアピンカーブの連続ですが、その道を1時間ほど歩くと「焼岳登山口」の目印がようやく見えます。といっても非常に見つけにくいです。道の左に、車が4、5台ほど停められるような場所があるので、それが見えたら道の右側に登山口の目印があります。そこから山道に入ります。
下の写真が目印の『焼岳登山口』の標柱です。葉っぱの影からひょっこり顔をだしています。
3.「焼岳」登山口
登山口からは、木々に囲まれた、いわゆるハイキングコースのような登山道を行くことになります。この間は、ただひたすら上っていくという感じです。ハイキングコースのような道なので、上りもそれほど苦ではありません。ですが、木陰があるのはこのハイキングコースのような道の間だけで、これを過ぎると太陽を遮るものは全くなくなります。
4.「焼岳」広場
登山口から歩くこと1時間ちょっとで「広場」に出ます。「広場」といっても何か施設があるわけではなく、「少し広い場所」です。ここから、ようやく焼岳の山頂を見ることができます。活火山なので、頂上から白い噴煙を上げているのも確認できます。
5.「焼岳」登山道
広場で少し休憩をし、そこから焼岳頂上を目指します。ここからは、頂上を見ながら少し急登を登ります。常に焼岳の噴煙を見ながら登り続けます。日影がないので、夏の暑い日は、標高が2,000m近くても汗が止まりません。少しずつ登っていくと、噴煙が目の前まで迫るとともに硫黄のにおいが辺り一面に立ち込めます。「地球が生きている」と肌で感じる風景です。硫黄のにおいと噴煙がすぐそばまで来るきたら、頂上はもう間近です。
6.「焼岳」2,444.3m 登頂!
焼岳頂上は南峰と北峰の二つに分かれています。南峰は活動中で登ることはできません。実は南峰のほうが標高が高いのですが、私たちが昇ることのできるのは北峰です、南峰と北峰の間に小さな池があります。噴煙を上げる焼岳には似つかわしくないですが癒してくれる風景です。それが見えると「北峰頂上」です。
下の写真が南峰と北峰の間にある『小さな池』です。
標高は2,444.3mと北アルプス百名山の中でも一番低い山です。しかし、晴れていれば見晴らしは最高です!北側を見れば、目の前に『穂高連峰』が見え、その奥に槍の穂先が見えます。東側は、『上高地の風景』がきれいに見えます。南側には、『乗鞍岳』や『御岳山』もよく見え、西側には『笠ヶ岳(かさがたけ)』が、本当に傘をかぶせたように鎮座しています。私が昇ったときは、とても天気が良く、どの山もはっきりくっきり見ることができました。
下の写真は頂上2,444.3mの標柱です。トンボも一緒にパチリ。
下の写真は、北側の穂高連峰と槍の穂先です。憧れの山です。
東側の上高地です。梓川(あずさがわ)が流れています。
南側の乗鞍岳です。夏でも雪が残っています。
西側の笠ヶ岳(かさがたけ)です。傘をかぶせたような三角形です。
7.中尾峠
景色に見とれて時のたつのも忘れましたが、下山します。下山は、登ってきた道ではなく、上高地方面におります。頂上からすぐには、あちこちに小さな噴煙が見られ、硫黄のにおいがします。しばらく行くと笹が覆う道になり、中尾峠の焼岳唯一の山小屋「焼岳小屋」に着きます。小さな小屋ですが宿泊もでき、ここから西穂高方面へも行くことができます。私は少しのどを潤しました。
下の写真が、中尾峠の焼岳唯一の山小屋「焼岳小屋」です。
8.田代橋
ここからは、木立ち(こだち)が少し現れますが、ひたすら下りなので足が疲れます。ふと振り返ると焼岳のドームが見え、道の右側には、焼岳が噴火した時にできた溶岩が流れた後を見ることができます。写真ではわかりにくいですが、自然の力のすごさを少し感じることができる荒々しい溶岩の後です。
荒々しい溶岩の流れた後を横目で見ながら、大正池方面に下山していくと梯子(はしご)があり、ほどなく田代橋に到着します。
9.温泉
田代橋付近には丁度お昼に到着しました。汗をかいたので温泉に入ろうと、少し上高地方面に歩くと「上高地温泉ホテル」があります。ここは、日帰り入浴ができるホテルです。運のいいことに営業時間が12時30分~だったので、ほぼ一番に入ることができました。ホテルのお風呂ですが、上高地内では珍しい、本当の温泉です。入ると私たちのような登山客の方がおられました。こじんまりとはしていますが、露天風呂もあり、とてもいい温泉でした。
10.上高地バスターミナル
温泉に入った後、かっぱ橋方面に向かい、そこで食事をして帰ります。バスのいいところはアルコールが飲めることです。風呂上がりのビールは最高でした。河童橋付近は観光のお客さんがいっぱいです。比較的すいていた「トワサンク上高地」の外のベンチで昼食を食べました。
食事後、お土産を買ったり、かっぱ橋周辺をうろうろしたりして、上高地バスターミナルに向かいました。バスは東京や京都まで乗り換えることなく直行します。お昼過ぎに出て、夜には現地に到着です。少し割高ですが、自分の車で来て、沢渡や平湯に駐車し、それからシャトルバスで来ることを考えると、とてもありがたいバスです。帰りは『さわやか信州号』で爆睡し、帰路に着きました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。